アメリカのカウンセリングの源流となった3つの運動とは?

アメリカのカウンセリング運動

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アメリカのカウンセリングの源流となった3つの運動とは?

アメリカのカウンセリングの源流となった出来事は、20世紀初頭のアメリカでの3つの運動です。3つの運動は、職業指導運動、教育測定運動、精神衛生運動です。

職業指導運動とは

1900年代の初頭、アメリカでは急速に工業化が進みました。それによって、農村部から多くの労働者が都市部に集まり、工場で働き始めました。
当時のアメリカの都市部の労働は、一人一人の能力や適性を考慮することなく、工場で働く従業員は機械的に仕事を割り振られ、それをこなす必要がありました。
それによって、工場で働き始めても仕事が続かなかったり、適性のない仕事に従事することで孤独に悩む人が増加しました。
工場の仕事に耐え切れず、仕事を辞めて都市に残った人々が、生活苦から犯罪に走るという問題も生じました。
そうした問題を改善するために、社会運動の活動家であるフランク・パーソンズが、職業指導運動を開始しました。
パーソンズは1908年にボストンに職業指導局を開設し、工場での労働に関する問題に悩む人々に対し、職業指導を行いました。
職業指導は、単に機械的に仕事を割り振るのではなく、一人一人の長所や特技にあわせた、適材適所という理念に基づいて行われました。
そして、職業指導局で指導を行う人は、カウンセラーと呼ばれました。ここで行われた職業の分析と個人の分析は、カウンセラーという名称とともに、カウンセリング制度の源流になりました。

教育測定運動とは

教育測定運動は、カウンセリングに用いられる心理テストの開発に関する運動です。
アメリカの心理学者であるソーンダイクは、すべてのものは量的に存在し、量的に存在するものは測定することができる、という概念を1904年に発表しました。
この概念は、1914年に開催された教育測定第1回大会においてスローガンとして発表され、その後第一次世界大戦の戦時下において急速に発展していきました。
戦時中に心理テストの技術が開発され、戦争が終わるとその技術はアメリカの教育界に広まっていきました。
ソーンダイクは、心理テストの技術を教育の場に適用し、測定によって得られたデータをもとに、一人一人にあわせた指導を行う理論を発展させました。
また、教育測定運動によって培われた心理テストによる個人の分析方法は、職業指導運動と結びつくことで、職業指導をより発展させていきました。

精神衛生運動とは

アメリカの精神衛生運動家であるクリフォード・ピアーズが中心となって行った運動です。
大学在学中に兄を脳腫瘍で亡くしたピアーズは、自分も発病するのではないかという不安を抱き、それによって抑うつや妄想などの症状を発症しました。
ピアーズは精神病院へ入院しましたが、そこでは彼の内面は理解されず、ひどい待遇を受けました。
その経験をもとに、ピアーズは患者の内的世界を理解し、それにもとづいた治療を行う必要性を訴えました。
ピアーズは1909年に書籍を出版するとともに、当時のアメリカの有力な精神科医や心理学者の支援を受け、コネチカット州精神衛生協会を設立し、会長となりました。
協会を設立したピアーズは、精神病患者の待遇改善を求める運動を開始しました。
患者の内的世界を理解することの重要性を提唱したこの運動は、人間理解という観点から、カウンセリングの発展に大きな影響を与えました。

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