夢占いとは、眠っている時にみる夢をカウンセリングなどで分析し、夢に現れた出来事や人、物などの意味を解釈する手法のことです。夢分析ともいいます。
カウンセリングの目次
夢分析の歴史
精神分析の祖であるオーストリアの精神医学者フロイトは、夢の中の世界について、人の意識の中に無意識が混入してくる場所であると考えました。
フロイトは夢について、抑圧されていた願望を夢の中で満たすことで、充実した睡眠を確保するための精神の機能であると、によって睡眠を保護する精神の機能であると捉えました。
そして、夢の中に表れてきた要素をたどり、前日の体験や本人の性格などを考慮しながら夢分析を行うことで、無意識に抑圧していた願望を抽出して認識することが可能であると考えました。
フロイトは、夢にでてくる抑圧された願望について、その多くを性的欲求として捉えました。
フロイトと親交を深め、後に決別してユング心理学を確立したスイスの心理学者であるユングは、夢にでてくる抑圧された願望を、より広く様々な角度から捉えることを目指しました。
ユングの夢分析
ユングは夢について、無意識からのメッセージであると捉えました。空想や芸術的表現なども同じく無意識からのメッセージであると考えましたが、その中でも夢が最も重要な対象であると捉えました。
ユングの無意識に対する捉え方の代表的な概念として、集合的無意識があります。集合的無意識とは、一人一人の人間の無意識は皆つながっていて、その底には、無意識の原型ともいえる、集合的無意識が存在するとする概念です。
あるクライアントがみた夢の中の光景が、クライアントが見るはずのない遥か昔の文献に記載されていることなどが、集合的無意識の例とされます。
夢を集合的無意識からのメッセージであると捉え、その内容や意味をカウンセラーなどのセラピストが分析し、クライアントが夢の意味を理解し受け取れる状態にする作業を、夢分析として確立しました。
夢分析の意味
ユングの夢分析の特徴として、夢の意味を収束的に一つの解釈だけに限定するのではなく、夢からもたらされる様々なイメージを膨らませていき、その意味を判断していくという捉え方があります。
そこでは、夢についてクライアントと的確にコミュニケーションをとることで、クライアントが自分の夢の持つ意味を把握するためのサポートをするセラピストが、重要な立場を担っています。
言い換えれば、ユングの夢分析とは、クライアントの夢という材料を活用することで、クライアントの成長や自己実現を図るカウンセリングの一種ともいえます。
補償夢と逆補償夢
夢には補償夢と逆補償夢があります。補償夢とは、現実において満たされなかった欲求を夢の中で満たそうとする働きのことです。
好きな人と話をしたいのにできないときに、それを夢の中で実現することで、一応の精神的な充足を得ることで、心の状態を良好に保とうとする働きです。
逆補償夢とは、現実に起こってほしくない出来事が、夢の中で起こることです。逆補償夢には二つの意味があります。
一つ目の意味は、あらかじめ夢の中で一種の予行演習をすることで、現実に起きたときに心が耐えられるような状態を形成することです。
二つ目の意味は、夢から覚めてそれが現実ではなかったと認識して安堵することで、心に安らぎや充足感を与えることです。