カウンセラーは、様々な手法に特化したり組み合わせて用いたりすることで、クライアントの問題に取り組んでいきます。
カウンセリングを実施するための様々な手法についてです。
カウンセリングの目次
精神分析
人の意識には、自分が認識している意識と、自分では認識することができない無意識の二種類があるとし、意識の下に潜在している無意識に働きかけることで、クライアントの治療や解決を行うものです。
無意識の領域にあるものを意識化にさらし、それを分析することでクライアントの症状を治療することを、カウンセリングにおける主なコンセプトとします。
クライアントの緊張をほぐし、リラックスした状態で心に浮かぶ様々な事柄を自由に話すことで、その中に潜んでいる過去の辛い体験や抑圧された出来事などに向き合う自由連想法という手法があります。
心をエス、エゴ、スーパーエゴなどの領域に分類したり、生きる事への前向きな心のエネルギーであるリビドーや、死への憧れを示すタナトスなどの概念があります。
論理療法
アメリカの臨床心理学者であるアルバート・エリスが提唱したカウンセリングの手法です。
カウンセラーがクライアントに対し、問題の捉え方や考え方に潜むひずみなどを指摘して揺さぶりをかけることで、より合理的な認識へと導く手法です。代表的なものとして、ABC理論があります。
ABC理論は、出来事をA、信念体系をB、結果をCで表します。
出来事と結果の間には、自分の思い込みや不安、不適切な行動などを例とするBが存在し、それによって失敗としての結果が生じます。
ところが、人間は一般にBを認識することなく、Cの失敗の原因は出来事であるAであると思い込んでいるので、すぐにあきらめてしまいがちになります。
ABC理論は、出来事と結果の間に隠れている不合理な信念体系を自覚することで、より良い行動や結果を目指すものです。
自己理論
アメリカの心理学者のカール・ロジャーズが提唱した手法です。
人間には自分自身を発展させる自己成長力が備わっており、自分を成長させる自己実現の欲求があると定義します。
実際の自分を表す現実我と、理想の自分を示す理想我との間のギャップである自己不一致を自らが認識して認めることで、自覚的な人間性の成長を促します。
人間を全体的に理解する、個人の直接的な経験の重視、カウンセリングにおける共感性の重視、過去や現在の環境よりも未来の価値を大切にする、などの特徴があります。
特定因子理論
フランク・パーソンズが提唱した理論で、仕事や職業の適性などを判断する、キャリアカウンセリングにおいて特に重要なものです。
特性因子論における特性とは、個人の性格や価値観、適性などを意味します。因子とは、ある仕事に必要とされる能力や、仕事内容などの条件を意味します。
個人には個人の特性があり、仕事には仕事の特性があることから、両者の特性を上手くマッチングさせることが重要であるとする概念です。
個人が職業のキャリアを選択するに当たっては、まず自分についての理解を深め、次に職業についての理解を深め、最後にその二つを付き合わせて最も適したものを選択する、という三つのステップを踏むことを重要とします。